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イースターでのお楽しみ
魔法学校では、今年もイースターの楽しい催しが待っていた。
魔法学校のイースターも、他の大抵の子供が楽しむイースターと、そうは変わらない。
美しく彩ったたまごを探し、夕ご飯にごちそうを食べる。
でも、魔法学校らしく、卵の中にはいろいろなお楽しみが入っている。
一応キリストの復活を祝う行事であるという事や、春の女神のお祝いであると言うマヌール(魔法を使えない人間族)のお祭りであるという事も教えられている。
優等生である3年生のナールとカルロは先生を手伝って、いろいろな大きさのたまごに美しく色を付けていく。
レッド、ピンク、オレンジ、スカイブルー、ベビーブルー、レモンイエロー、色々な色で模様をつけながらとてもカラフルな卵が生徒と先生の人数分出来上がった。これで前日までの準備は終わり。
たまごの中身を入れるのは先生方の役割だ。
そしてたまごを隠すのも先生方の役目。一年生のたまごを隠します。
でも、箒に乗れるようになっている2年生以上の生徒のたまごは隠さないの。
魔法学校ですから。
さぁ、楽しいイースターの始まりだ。
1年生以外の生徒はどうやって卵を手に入れるのかよくわかっている。
1年生用には、芝生の中にじっとしているたまごを隠してあるので合図が鳴ると1年生は一斉に芝生に駆け出した。
他のたまごは先生の合図とともにぴょーんぴょーんと跳ねだした。
結構な高さまで跳ねるのでみんな箒に乗って一番上がりきったところを捕まえるのだ。
大きさによって入っているものが違うので、男の子は大抵大きなたまごを狙って箒で飛び回る。
女の子たちは中くらいか、むしろ跳ねていると獲るのが難しい普通の鶏のたまごと同じくらいの大きさのたまごをとろうと必死になる。
合図が鳴ってから30分後。
さて、みんなそれぞれお目当てのたまごを手に入れたようだ。
夕食のごちそうの前にみんなで大広間のテーブルに着いて、自分のたまごを開け始める。杖でこつんと叩くとたまごの殻は消え、中身だけがそこに残るのだ。
男の子達が狙っていたのは、その日だけ遊べる犬が入ったたまごだった。
魔法使いが持ってきて良いペットの中になぜか犬は入っていない。でも、犬の可愛さは知っているので、ベッドに一緒に入るときまでは自分の犬が手に入る。もちろん、魔法で作った犬なので消えても大丈夫。
どこかの本物の犬をさらっているわけではないのでご安心を。
カルロは結構大きめのたまごを手に入れていた。
杖でこつんと叩くと、犬ではなくカピバラが現れた。
よくばって大きすぎるたまごを手に入れてしまったようだ。
カピバラも魔法で作られているので大きいと言っても大きな犬位の大きさなのでベッドまでは連れて帰れるが、おちついてイースターのごちそうを食べているという訳にはいかなくなった。
魔法学校は寒い所にあるので、お風呂に入ろうとして、夕食のスープの入れ物にどっぷりとつかってしまったのだ。
それはそれで可愛い姿ではあったが、カルロのテーブルのみんなはスープを飲めなかったので、ちょっとみんなの目線が痛かった。
ナールは一番小さいたまごを手に入れていた。鶏のたまごよりも小さいたまご。杖でこつんと叩くと、ナールが思い描いていた、小さな金色のカナリアが出てきた。
カナリアはナールの頭に止まるとそれは美しい声で鳴いて見せ、ベッドに入るまでみんなを楽しませた。
大抵の男の子は自分の希望通りに犬を手に入れて、自分の膝に乗せ、暖かい毛の感触と人懐っこさを楽しんだ。
中には、動物ではなく、お菓子の詰め合わせが入っているたまごもあって、それは沢山あったので、夜に消えてしまう前にそのたまごを手に入れた生徒は周りの生徒と分け合って、ベッドに入るまでの時間を楽しんだ。
1年生はみんなお揃いの箒に乗るときの小さな肩から下げるポーチが入っていた。これは、イースターの日が終っても消えない唯一のプレゼントだった。
これから、どんどん箒の授業が増えるので、大切なものはこのポーチに入れてなくさないように管理するのだ。ポーチは拾ったたまごと同じ色をしているので一年生も自分の色を忘れないだろう。
そして、ベッドに入る時間になると、カピバラも、カナリアも、犬も、お菓子も、みんな夢のように消えてしまった。
春の学期が始まり、それが終れば長い夏休みが待っている。
春の楽しい一日を魔法学校のみんなは楽しく過ごしたのだった。
【了】
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