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ヘイト
灯は理不尽な言いがかりを付けられ、学校で虐められていた。満開の桜の下で彼女は涙をボロボロこぼしながら、自分がクラスメイトからされていることを話し始めた。「ほーしゃのーがきた!」「さわられるとしぬぞ!」「ほーしゃのーはでてけ!」など、心ない数々の言葉を毎日浴びせられていたのだ。その一言一言が、幼い灯の心の傷となり蓄積されている。
優貴は必死に自分の感情を抑えて灯の話を聞いた。出来ることならすぐさま小学校へ怒鳴り込みたかったが、それをすると状況をこじらせるのは解っている。
何とか冷静さを装いつつ最後まで話を聞くと、「お母さんにはおじちゃんから話すから、明日から学校へ行かなくていい」と灯に伝えた。灯は学校に行くと言い張った。
「お母さんも栞も休んでいるんだから、灯だって休んでいいよ。それに明日もおじちゃん、仕事を休みにするから」
「でも、おじちゃん、けーやくしゃいんなんでしょ? やすむと、きゅーりょーがへるって、おかあさんがいってたよ」
「余計なことを……」
子供にいらぬことを教えないで欲しい。しかし、優貴が強行に休むと主張すると、気をつかった灯が折れて、自分は学校を休むから仕事に行ってくれと頼んできた。姪のほうが大人なのかもしれない。それから灯が落ち着くのを待って、道の駅でイチゴをお土産に買って帰宅した。
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