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強欲的独白
「……あ、そうそう、最後にこれだけは言っておくわ」
少女は、閻魔から目を逸らし、どこか遠くに向けて言う。
「この話を、大袈裟な他人ごとと思われてしまっては私が浮かばれないわ。どうか、あなたの心のどこかに巣食う強欲さと傲慢さには用心なさってね。……あなたに言ってるのよ、閻魔様でもお着きの方でもない、そこのあなた?」
少女は微笑みながら、鬼に連れられて地獄へと歩き出す。
その笑みは、晴れやかとは言いがたかったが、地獄で一番輝かしく可憐であった。
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