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それから1か月。俺はゼニックをクビになっていた。事件は闇に葬られたが。事実を知る国は、俺をゼニックに置いておく事に恐怖を感じた様だった。
俺は親父の造った苔だか、藻だかの栽培に精を出していた。
そんなある日、国際郵便で荷物が届いた。
かなり大きな木箱だった。俺は何処からだろうと思って、差出人を見て驚いた。
スウェーデンのリンダ博士からだった。
弟子達がニコニコ笑いながら、それをリビングに持っていった。そこが1番広い場所だからだ。
乱暴に釘打ちされた木箱を、バールで開けると。沢山の緩衝材が見えた。それを外に出すと。何かの機械ユニットが現れた。
親父は覗き込んで、ニヤリとした。
おいおい!まさかまた何か企んでないよな?
中の機械を取り出すと。2時間程かけてセッティングが済んだ。俺はリビングのソファーで、何をしているのか訝しげに見ていた。
リビングのテレビに、何処から借りてきたのかパソコンを介して、機械を接続し。
テレビの上にはカメラをつけた。
何かの通信装置かな?と思って見ていると。
弟子の1人が親父を呼んだ。そして、機械を起動した。
沢山の数字と何処の言葉か分からない、アルファベットが画面1面に並んだ。天才の御弟子さんはそれを見ながら、パソコンをニコニコ笑いながら操作した。
すると荷物で来た機械が、ヒューン!と大きな音をたてた。
そして、パッ!とテレビの画面に3D映像の女性の顔が映った。外人さんだ。彼女は、
「はじめまして。私が、リンダゲシュタットが造った、ジョウサンです。お久しぶりですね、桜花隼人。生きててくれて良かった」
と言った。俺は、啞然として。
「リンダ!生きてたのか?!」
と画面に手を当ててしまった。すると、
「はい、撃墜される時にパージしましたから。何とか博士のお仲間が回収してくれました」
「良かったぁ!・・・えっ?何でここに?」
と俺が聞くと。回りの天才達と親父がニヤニヤ笑っていた。そして、笑うリンダは。
「では、これから世界平和作戦、第二段へと移行します。月基地が出来てからの、太陽系連合について、お話ししましょう」
と宣った。
俺は啞然とした。どうやら俺は、とんでもない企みに巻き込まれているようだ・・・。
終わり。
平成29年4月6日初稿
令和5年4月13日加筆修正。
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