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『今なにしてる?遊歩道の夜桜、見に行かない?』
夜、ベッドの上でごろごろしながら漫画を読んでいたら、桜良からメールがきた。
『行く行く!』
一瞬でテンションが上がった僕は、すぐに返信した。
夜桜デートか、なかなかありだな。
なんて思いながら、顔を綻ばせながら家を飛び出た。
家の近所にある遊歩道に桜の木が立ち並んでいて、これでもかというくらいに咲き乱れていた。
「桜、綺麗だなぁ」
桜良と二人で並んで歩きながら、僕は呟いた。
「え、私?ありがとう」
自分を指差しながらおどけて言う彼女に「違うよバカ」とつっこむ。
だけど「ふふふ」となぜか嬉しそうに笑っている彼女の横顔は結構本気で綺麗だったので、思わず見惚れてしまった。
桜と咲良。そのコントラストはまさに芸術的だった。
大好きな幼なじみと美しい桜を眺めて歩きながら、僕は今が一番人生で幸せなときかもしれないとしみじみ思った。
しかしその幸せは「あのね」と話し始めた彼女の言葉により、いとも簡単にぶち壊された。
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