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卒業式は、あまりにもあっけなく終わった。
僕は桜良の顔もまともに見られなくて、あっちもそんな僕にわざわざ話しかけてくることはなくて、仲の良かった僕たちは一度も口を聞かず、その関係を終えた。
違う高校に進み、僕が彼女にメールを送ることもなければ、あちらからももちろんこなかった。
ただの、仲の良い友達。
それなのに、僕だけが勝手に舞い上がって、思い込み、失恋した。
あの日桜良が誘ってきた夜桜は、一夜にして僕に期待と絶望を与えた。
それから僕は、春がくる度思い出す。
あの夜の記憶を。
これでもかというくらい綺麗に咲き誇る桜に、残酷さを覚えずにはいられなかった。
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