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4.君の気持ち
やがて訪れた昼休み。
立川と二人で、最近よく訪れている会社近くのカレー屋に来た。
「うめぇ!やっぱここのカレーうめぇ。毎日食っても飽きんわ」
せっせとカレーをスプーンで掬み、口に運んではまたそれを繰り返す立川を見ていると、なんだかCMみたいだなと思う。
「美味いね。毎日は無理だけど」
「そーかぁ?俺は毎日でもいけふ」
「ちゃんと口にものがなくなってから話せよ」
「ういー」
こういう無邪気さが、憎い。けど、なんか憎みきれない。
顔だって男前だし、モテるんだろうなぁ。……なんてまた卑屈になってしまう自分が一番嫌いだ。
「あ。そういえば、これ見てる?」
皿の中のカレーを全部食べ終えた立川が、自分のスマホを俺に見せた。
画面に映っていたのは、桜良が出ている恋愛番組のタイトルだった。
「いーや、見てない。興味ない」
なぜか嘘をついてしまった。
「マジ?めっちゃ面白いから見てみ!」
「まぁ、気が向いたら」
画面をスクロールしながら、立川は一人で喋り出した。
「この記事、出演者達の過去の恋愛エピソードとかが書かれてるんだけど、面白くてさ。とくにこの、山峰桜良って子!」
思わず吹き出してしまいそうになって、急いで水を飲んだ。
「けほっ、けほっ」
「ちょ、お前、大丈夫か!?」
「お、おう」
そして立川がまた喋り出す。
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