老婆

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降りる時に、小さなリュックを1人ずつ渡された。 濃い緑の厚い綿生地のリュックで、軍隊とかで使いそうな感じの、丈夫な物だった。 黒岩が中を覗くと、地図とバールと懐中電灯が入っていた。 バールが武器なんだろう? 他の人間も武器だけ違うだけで、入っている物は変わらなかった。 中にはロープとか武器としては微妙な物もあった。きっと、協力してやれという事なのだろう。 「これ、ウザいな」 誰かが言った。 声を放った男は、渡された地図にライトを当てて見ていた。 その声で、自然に作戦会議のような物が始まった。 地図を見ている男は続ける。 「此処(今いる場所)、この島の拓けてる場所の真反対だな? 人目には一切付かないが、目的の連谷村に行くには山超えなきゃならない。地図見て見ろ?」 地図を見ると、今居る港に赤い矢印が書かれて『現在地』と手書きで書かれていた。 港は北港と書かれて、左右と後ろは山だった。 山2つの間に山が挟まれてるような感じで在り、その挟まれてる隙間に北港があった。 「そこまで高い山じゃない。暗くて良くは分からないが、此処から見えるあの山だろ? 30m程だろう? 崖を登る感じだ。まあビル10階程はあるが、山を越えると言っても登山ではなく、ハイキングレベルだろう。地図に住民が使ってた山道が出てる。これを通っていけば良いだけだ。そうすりゃ、道に出る」 別の男が言った。 「了解。自己紹介は無しだが、名前は決めようぜ? 本名とかじゃないく、ニックネーム的な? 話し掛ける時とかやっぱ必要だろ?」 「じゃあ、お前は猿だな?」 「なんで猿なんだよぉ!! 喧嘩売ってんのか?」 男がそう凄むと、 猿と言った男が男のTシャツを指差した。 男のTシャツには某ファッションブランドの猿の絵柄が書かれていた。 「一々自分で考えたニックネーム名乗るより、見た目で分かる方がいい。覚える手間が省ける。俺はブルーだ。Tシャツの色がブルーだからな」 ブルーと名乗った男は、スカイブルーで胸に虹のイラストが描かれたTシャツを着ていた。 猿とブルー、2人は30代前半という感じで、猿は短髪、ブルーは2ブロック。175cmくらいのガッチリした体つき。 好戦的で、感情的のようだ。なんとなく雰囲気が似ていた。 誰か1人が名付けるという訳ではなく、近くの人間同士で言い合ったり、自己申告で適当にニックネームは決められた。 取り敢えず 猿(Tシャツのブランド) ブルー(Tシャツの色) ブラック(Tシャツの色) レッド(Tシャツの色) ホワイト(Tシャツの色) グレー(Tシャツの色) 日本一(Tシャツに書かれたロゴ) ボーズ(髪型) ロン毛(髪型) 金髪(髪の色) 青髪(髪の色) アロハ(赤地に白のハリビス柄のアロハを着ている) 鮫人(さめんちゅ)(Tシャツのロゴ) ナイキ(Tシャツのロゴ) アディダス(Tシャツのロゴ) 葉っぱ(Tシャツに大麻の葉の模様) 魚(Tシャツの模様) 南国(Tシャツがヤシの木柄) の18人。 黒岩は黒一色のTシャツだったので、ブラックだった。 名前が決まると、時間も限られているので直ぐに出発した。
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