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「今度はなんや!」
「電話かかってった。出てええか?」
「勝手にせえ!」
「すまんな。はい、もしもし。おお、信長か。久しぶりやな」
(信長て。お前の格好繋がりで天下人やないか・・・)
「桶狭間以来やな。あの奇襲はホンマ参ったで。あの時代はお互い苦労したなあ。あ、そうそう、ドームツアーどうやった? 敦盛ウケた?」
(なんて!?)
「え? 同窓会? ええよ。サルも来るん? タヌキとハゲネズミも? マジか! ええな」
「オイ! オイオイオイオイ!」
「あ、ごめん。今、マサやんと会うとんやけど、なんやカリカリしとんねん。もう、なんやねんマサやん」
「お前その面子、秀吉、家康、光秀やないか。あと、ドームツアーってなんやねん! 誰と会話しとんねん!」
「え? 殿やけど」
「え? 高三の担任ですけど、みたいなノリで言うなや! あの時代てお前、信長と同じ時代の生き証人か! 大体、出会い頭から時空超えすぎやねん! 信長の時代にドームツアーがあるかぁ! 信長がドームで16ビートの敦盛、演ってモッシュが起きるて、どこの未来やねん! それに、信長と光秀が同窓会て気まずいやないか! 自重せえや!」
「いや、本能寺焼かれた代わりにスマブラで接待させる言うて・・・」
「それは小五が小二にやらせるやつや! ええ大人がゲームで接待さすな!」
その時、「ガシャアアン」とガラスの飛び散る音を立てて、メイド喫茶のドアが破られる。
「なんやああああ!!」
扉の向こうからは、甲冑に身を包んで、身体中に刀や槍を突き刺した武者が何人も現れた。眼球は白目を剥いている。
「おう、来たな」
「オイイイ!! なんやコイツら!」
「源氏の亡霊や。お前ら、マサやんがスマブラの接待するらしいから、連れてったってくれ」
「うおお・・・おおん・・・・・・」
源氏の亡霊は、正志の周りにワラワラと集まってきて、全員で正志を担ぎ上げた。
「オイ! 離せコラァ! 四方山ぁ! なんの真似や!」
「いや・・・だって、信長の接待を光秀にやらせんの自重せえ言うから。マサやん接待してきてや」
「オイ、ふざけんな! 覚えとけよ四方山! 次はオノレに接待させたるからなあああ!」
そのまま、正志は亡霊達に連れて行かれた。去り際に正志が見たのは、優雅にキャラメルラテアートを啜る四方山の姿だった。
「まあ、これもメイドの土産や」
正志があの世に連れて行かれたかどうかは、誰にも判らない。
完
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