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「いや〜、久しぶりやからなあ。お洒落したろ思て」
「お前のお洒落のベクトルはどこに向いてんねん。戦国時代ならお洒落やったかも知らんけど、時空超えとんねん。高校卒業してから、お前の身に何があってん」
「ええがな。誰も気にしてへんやん」
「気にしてへんとか、そういう問題ちゃうやんけ。そんなんどこで買うてん?」
「そら普通ユニクロに決まってるやろ」
「いや、普通とか言うなや。色んな意味で普通やないねん、今の状況が。それにユニクロに鎧売ってるわけないやろ。それが普通や」
「売ってるわけない言われても・・・。売ってたから買うたんやん」
「仮に売ってたとして、なんぼしてん?」
「全身セットと草薙の剣込みで千五百円や。お買い得やろ」
「お前それTシャツの値段やし、お買い得かどうかもよう分からんわ。それに草薙の剣は一般人が持ってええもんちゃうやろ。神剣や。草薙の剣をおまけみたいに言うなよ。おまけ扱いなら、ひのきのぼうでも十分ありがたいわ。お前絶対嘘ついてるよな?」
「ほんなら襟元のタグ見てくれや」
「襟元てどこやねん。ほんでタグて・・・」
正志は、四方山の背後に回ると、兜の付け根に目を凝らす。確かにユニクロのタグが付いてあった。
「ホンマや・・・。ユニクロや・・・」
「せやろ。ほな行こや」
「全然納得いけへんけど、まあええわ。どこ行く?」
「メイド喫茶やがな」
おかしな展開だ。まさか戦国時代の武士と並んで歩く日が来るとは思わなかった。
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