桜の公園

9/11
前へ
/13ページ
次へ
 つられるように付いていくと、まさみさんはトランクを開けた。 「まあ、それだけならそう言えばよかったんだけどね。でも、もう一つ気になる事があったから来たのよ」  トランクの中にはトラロープと複数本の杭、そして大きめの木づちが入っていた。 「これを準備していたから来るのが遅くなったの。ごめんね」  そう言って杭を手にし始めたのを私はぼーっと突っ立ったままで眺めてしまっていた。 「ほら、あなたも手伝って」  そう言われて慌てて私も手を伸ばす。この中で一番重そうな木づちと、まさみさんが持ちきれなかった杭とロープを両脇に抱える。 「あなたがスポーツマンでよかったわ」  いや、スポーツウーマンなんですけど。などと心の中でツッコミを入れながら、歩きだしたまさみさんの後をついていく。  公園の片隅に着くと、まさみさんは手にしていた杭を足元にばらまいた。 「ああもう、本当に重いわね」  私の半分も持っていないのに、などと再び心の中でつっこんでいると、まさみさんは一本の杭を立てて、木づちで叩くように指示してきた。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加