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私は感動のあまり、まさみさんの事はすっかり忘れてしまっていた。そしてついこう言ってしまった。
「とってもありがたいです。私も一緒に片付けます」
前年の市の職員の十倍はいるであろうその人数にあっとうされたということもあった。これだけの人数が居れば一時間ちょっとで全部片付くだろう。だが、実際に始めて見たら一時間と待たずに公園は元の姿を取り戻した。とはいえ散らかった花びらはそのままではあるが。
後は公園の四方八方にまとめられたゴミ袋を運び出すだけだ。彼等は複数台の軽トラックで乗り込んできていてくれたので、私は四袋程手にしてその中の一台へと運ぼうとした。
「ねえちゃん、力持ちやなぁ」
すぐ脇にいた人にそう声を掛けられ、なんだか少しうれしくなった。
「水泳で鍛えてますから」
そう口走ると、皆が一斉にこちらに顔を向けた。作業中は気が付かなかったが、ここにいる皆さんは地元のプールの常連さんだった。
「おお、よく見たらあのカッコよく泳いでるねえちゃんやないか」
「私たちのウォーキングで泳ぎの邪魔してごめんね」
「今度泳ぎをおしえてくんねえか」
袋の回収を忘れて皆が私を取り囲むように寄ってきた。
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