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後片付けを終え、現場を去っていく軽トラックに深々と頭を下げながら見送った後、まさみさんは私の背中を叩いた。
ー怒られる!?ー
そう思いながら恐る恐る顔を上げると、まさみさんは穏やかに微笑んでいた。
「随分と短期間であの人たちを味方に付けたものね」
「いやこれはえっと」
実は水泳仲間だったことを伝えると、まさみさんは一瞬驚いたような表情を見せた。
「なるほどね。市の職員が余り市民となあなあになってもって思ったけど、そういう事なら仕方ないわ」
この時は言っている意味が理解できなかったが、一部の人と仲良くなりすぎるのは余りよろしくないらしい。それを痛感するのもまた先の話。
穏やかなその表情に緊張が解けた私は、思った事をそのまま口に出してしまった。
「まさみさんがもっと早く来てくれたらよかったのに‥‥‥」
「あら、私のせいにする気かしら」
笑みは絶やさなかったものの、その一言で私はしまった!と思った。
確かに指示通りにしなかったのは私の責任だ。一瞬で冷や汗が体中に滲み出す。
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