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「月曜日は図書室の整理、火曜日は校庭のゴミ拾い、水曜日は花壇の手入れ、木曜日は中庭の清掃、金曜日は用具室の後片付け、あ、ゴミ当番は毎日だからね」
放課後の教室。
クラスのみんなが帰ったあと、僕は早瀬美鈴から週の実施項目を口頭で説明されていた。
正直、それは学級委員の仕事かと思える内容ばかりだった。
いつからかはわからないが、彼女は今までそれを一人でずっとやっていたのだからすごい。
根っからの優等生なのだろう。
「それ、拒否権は発動できないの?」
僕の言葉に早瀬美鈴は「できません」とさらりと答えた。
「まいったなあ、僕だって忙しいのに」
思いっきり暇だったけど、さも用事がありそうに振る舞ってみた。
ダサさ全開だった。
しかし彼女はそんな僕を見透かしたかのように、言った。
「どうせ家でゲームばっかりしてるんでしょ?」
「う……」
「少しはみんなのために働いたら?」
まるで保護者のような言い方だなと思った。
「子どもを働かせるのは、ろーどーきじゅんほーに違反してると思います」
「へえ、ずいぶん難しい言葉を知ってるのね。でも大丈夫よ。これは課外活動の一環で労働じゃないし、そんなに大変じゃないから」
「そうなの?」
「せいぜい1時間くらい」
「じ、じゅうぶん大変だと思うけど……」
1時間て……。
小学生にとっての1時間は貴重だ。特に学校が終わった後なんかは。
「じゃあなに? 大変な作業を全部私一人でやれって?」
「い、いや、そういうわけじゃ……」
「そういう意味じゃない」
きっぱりと正論で言い返されてしまった。やっぱり早瀬美鈴は優等生だ。
「はあ、わかった。わかりましたよ。手伝えばいいんでしょ、手伝えば」
「やった! よかったー。正直、誰か道連れが欲しかったのよねー」
彼女の言葉に、僕は「え?」と思った。
絵に描いたような学級委員長の口から「道連れ」というセリフが飛び出してきたのだ。
びっくりしてしまった。
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