夢見る俺たちの春休み

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「……こんちくしょう」  唐突に、視界が動いた。  手首を掴まれたと思ったら、身体ごと引っ張られる。  ふわっと全身が浮いて、でもすぐに逞しい腕の中に閉じ込められた。 「せ、先輩……?」 「それってさ、春休みまで待たなきゃダメなの?」 「えっ」 「今日、誰もいなくはないけど……みんな、帰り遅いんだ」  先輩の声が、直接耳に流れ込んでくる。  湿った吐息に鼓膜を揺らされ、心臓の動きがおかしくなってきた。  落ち着きたくて先輩の背中に手を回すと、俺のものとは別のどきどきが合わさる。  見上げると、先輩と視線が重なった。  ふたつの瞳は、いつもよりも、ずっとずっと優しい。 「俺のこと、嫌になってない?」 「え……?」 「また……俺とえっち、してくれるの……?」  先輩は、目をまん丸にして驚きを表現した。  俺だって、バカなこと言ってるってわかってる。  でも、不安で、心が割れてしまいそうなんだ。  俺は先輩より年下で、比べものにないくらい子供で、好きになったのだって先輩が初めてで、大好きだからどうにかしたくて、でもどうしたらいいのか分からなくて。 「ごめんね」  先輩の四角い指先が、俺のほっぺをゆっくりとなぞる。 「不安にさせるつもりじゃなかったんだ。クリスマスの日、優しくしたかったのに、理人があまりにかわいかったからどんどん抑えが効かなくなって……泣かせるつもりじゃなかったのに、泣かせた」 「そ、れは……」 「怖がらせたなって反省してたんだ」 「ち、ちがっ……」  違うのに。  俺が、先輩のこと怖がるわけない。  だって、俺は。  俺は、こんなにも先輩がーー 「好きだよ」 「先輩……」 「理人のこと嫌になることなんて一生ないし、えっちだっていっぱいしたいって思ってる」  どうしてなんだろう。  どうして、佐藤先輩は俺がほしい言葉がわかるんだろう。  どうして、 「んっ……ん、んん!?」 「こうやって愛を語りたいのは山々なんだけど」  先輩はあっという間に俺の唇を奪うと、それを押しつけてきた。  硬く、おっきくなったそれを。 「もう、挿れたい」
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