しゅーくりーむは美味かった

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それから数日。 あの後、詳しい動機や犯行方法などを警察の方々が突き止めてくれた。その後、無事に逮捕状が出て、料理長は逮捕されたらしい。(御本人に聞いたんだけど、僕の推理で出した程度の証拠じゃ、「逮捕ーーーー!!!」ってできないんだってさ。決定的な理由とかが、必要らしい。今後の物語に活かそう) 昔は、実家の家業である養鶏農業を手伝い、最高級の卵を世に送り出していたらしい料理長。 そんな、魂を込めて作っていた卵を、「卵などないほうがいい」と、今回の事件の被害者に侮辱されたそう(被害者は卵アレルギーなのだから気持ちはわからなくもない)。それに強い怒りを覚えた犯人。その後、高級レストランの料理長まで上り詰めた彼は、皮肉にも卵で復讐したわけだ。 ただ。 被害者のいた部屋の防犯カメラを後になって警察が確認したところ。 今まで1度も食べたことのなかった卵入りシュークリーム(と言っても本人は卵入りということを知らなかったが)を味わい、あまりの美味しさに被害者が感涙していた様子が映されていた。 そして、そのシュークリームに使われていた卵は、料理長の実家産のものだった。 被害者は、自分も知らぬ間に昔侮辱した卵を認めていた。 卵で始まり、卵で終わった、殺人事件であった――――― 一番「卵」を(けが)したのは、誰だろう。 本人は自覚がないなんて、皮肉だな。 「ふむ、新しい物語のいいテーマになるかもしれない。」 僕は呟いた。
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