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まさか、こんなことになるとは。
急げ、急ぐんだ――どこか、どこか―――
早くしなければならない。
「すみません…通ります…すみません……すみませ〜ん…」
大勢の人の中を、かき分けるようにして通っていく。
そのとき、俺の耳に入った言葉―――
「犯人だ!!!!!!」
先程の男が、俺を指さして叫んだ。
人混みの中を、俺は全速力で駆け抜けていく。
バレたかっ、やはり―――
アレルギーの、「事故」であるとして医師は結論づけたというのに。
故意にシュークリームを食べさせたことが、もうバレている。
俺は、なにか怪しい動きをしたか?―――
いや、あの男の推理の仕方。見抜かれてもおかしくなかった。
もっと初めから逃げていれば―――
今となってはどうでもいいことだ。
俺はただひたすらに廊下を走っていく。
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