その庭には桜がない(3)

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 倫三郎おじさんの葬儀はしめやかに行われた。  年齢が年齢だけに、友人のような人達の参列こそなかったけれども、親戚はかなりの数に上る。  僕がよく知らない親戚まで集まって、それはそれは大人数になった。  ――そして、骨肉の遺産争いが始まった。  大伯父を筆頭に、血縁の近い人達が、倫三郎おじさんの莫大な財産を、少しでも多く相続しようと揉めに揉め始めたのだ。  もしおじさんに直系の子孫がいれば、ここまで揉めることはなかったのに。  僕は桜さん――曾祖母に「あなたがもっと待ってあげてれば」と思いを馳せつつ、同時に「あ、それじゃ僕が生まれないじゃん」等と複雑な気分を抱えた結果、ほんの少しだけ「桜」が嫌いになった。 (了)
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