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近衛騎士団
次の日の朝。私は朝早く起きると、近衛騎士団へ向かった。朝練があるため、騎士団の訓練所へと向かう。
「おはよう」
「おはようございます」
みんな普通に挨拶してくれたものの、蜘蛛の子を散らすよう逃げていった。遠巻きにこちらを見ている者もいる。
「おー、ジョゼフ来たか」
騎士団長のアルフレッド様がこちらへ手を振っていた。駆けていくと、騎士団長は眉間に手を当てながら言った。
「お前、昨日配置換えだって聞いたか?」
「えっ、ええ‥‥‥はい」
「何処だと思う?」
「‥‥‥分かりません」
「ギルバート殿下の護衛チームだ」
「あそこは確か、人数足りてるんじゃ‥‥‥」
「いいんだ。どうしても、ねじ込めだとよ。ったく、こっちの気も知らないで‥‥‥ギリギリの人数で回してるんだぞ」
「それは‥‥‥なんか、すみません」
「いや、いい。お前が悪いわけじゃないのは分かってるんだ。ただのグチだ。1ヶ月間、予定が合わなかったりして、すれ違ってばっかりじゃ、お互いのこと何も分からないままだからな‥‥‥」
「聞いてるんですか? 婚約のこと」
「ああ。何でもベタ惚れみたいじゃないか、王子様。良かったな!!」
そう言うと、騎士団長はバシッと僕の背中を叩いた。
「いえ、まだ婚約と決まった訳では‥‥‥ギルバート殿下は断っても構わないと仰ってましたし‥‥‥」
「ん? そうなのか? まあ、相性を確かめ合うための1ヶ月だからなぁ」
騎士団長は、こちらを生暖かい目で見ながらニマニマと笑っていた。
「兎に角、護衛チームですね!! 行ってきます」
「おぅ。ギルバート殿下によろしく言っといてくれ」
これ以上、団長に絡まれたくないと思い、急いで護衛チームの集合場所へと向かったのだった。
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