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ある日、神様は赤ちゃんの卵をつくっていました。
赤ちゃんたちは、透明なカプセルにひとりずつ入って、お空の長い滑り台を順番に滑ってママのところまでおりていくのです。
「気をつけていくんだよ」
神様の前には、これから生まれる赤ちゃんたちが、きちんと並んで順番をまっていました。
「いろんなものを見てくるんだよ」
赤ちゃんたちは、ころんとカプセルにはいると、すいすいとお空をくだっていきました。今日もたくさんの赤ちゃんが新しいママたちのところへいくのです。
やがて、お空の上にも夜がちかづいてきました。今日旅にでる赤ちゃんももうおしまいです。
「やれやれ」
神様が、おしまいのカプセルに手を伸ばしたときでした。
「おや」
神様の前には、まだふたりの赤ちゃんがこちらをみあげているではありませんか。
「おや、おや」
神様はこまって声をあげました。赤ちゃんのカプセルは、もうひとつしか残っていません。ふたりの赤ちゃんはしずかにみつめてまっています。
「しかたがない」
神様はふたりの顔をみくらべながらいいました。
「お前たちはとても小さいので、ふたりでひとつの卵にはいることができるだろう。ふたりで一緒にいきなさい。これが、おたがいの縁だと思って、たすけあっていきなさい」
赤ちゃんたちは顔を見合わせてうなずきました。ふたりともとても小さくて心細かったからです。
「きゅうくつに思うときもあるかもしれない。けれど、お前たちは、ほかの子供たちにはないものをもっているのだ。それを大事にするのだよ」
神様はふたりが一緒に生まれるしるしに、それぞれの小指を銀色の雲の糸でむすびつけました。それから、やわらかい綿にひとつにくるんで、のこったカプセルに入れてやると、すっぽりとちょうどよくおさまりました。
「気をつけていくのだよ」
ふたりは、手を取り合って、するするとすべり台をくだって空からおりていきました。
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