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「よっしゃ~!終わった〜!若ちゃん、そっちは?」
「あともうちょっと!・・・よし、私も終わった!」
私は立ち上がってスカートに付いた土を払っていると、祐人が隣に並び、周りを見渡した。すると、先生がペットボトルを手にこちらにやって来るのが見えた。
「あら、終わったのね!綺麗!木沢くん、水樹さん、お疲れ様」
私達は、先生の代わりに中庭の花の手入れをしていたのだ。
朝、登校して早々、幼馴染みである祐人に捕まり、花の手入れを頼まれたから手伝ってほしいと言われた。
正直、面倒くさいから断りたかったが、自分が可愛い系男子だと自覚している祐人は目をキラキラさせて圧をかけてきた。私はそれをきゅるるん攻撃と呼んでいる。それをされると誰もがノーと言えなくなる。
「腰痛めちゃってどうしようかと困ってたんだけど、代わりにやりましょうか?って言ってくれて嬉しかったわ〜。ありがとうね」
「いえ、僕は困っている人の代わりに行う。をモットーにしているので!」
その言葉に私は顔をしかめる。
祐人は困っている人を助けているが、それはただの興味本位で『代わりにやりましょうか?』と言ってることが多い。
一人で勝手にやるならいいが、私を巻き込むのは困る。
私は昼休みの有意義な時間を奪われた苛立ちを、ペットボトルを二本持つ祐人の手から紅茶の方を奪い、半分ほど一気に飲むことで発散させた。
「あ〜!僕、そっちが飲みたかったのに!」
知るか。
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