消えたいシグナル

2/4
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
「お花見どこに行こうか?」 「どこでもいいよ。花より団子だもん」 「デパ地下のお弁当とか食べたいよね」 平凡な会話をしている。 お花見をしたことは何度かある。 小さい頃、家族で大きな病院の庭でピクニックシートを敷いてお弁当を食べた。 辺り一面が桜で、まるで花びらの中に迷い込んだ感覚。 あの時は少し幸せだった。 でも今は桜の季節ほど憂鬱な時はないんじゃないかな?とさえ思う。 息苦しくて、どうしようもなくなる。 なぜこうなったか、理由は色々あるんだろう。 小さい頃から人見知りで、友達も少なかった。 友達が少ないと自尊心が低くなる。 自尊心が低いと何をするにも自信がなくなる。 社会人になってからは、そこそこうまくやっていたはずなのに体調を壊して休職して、そして結局離職した。 家族とも仲が良くなかった。数年前に母が死んでから、父や姉とはほとんど連絡をとらない。 そのこと自体は構わないけど、お金に困った時に助けてくれそうな人がいないのはそれなりに不安だ。 そして今はひどく憂鬱。消えてしまいたい。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!