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「お葬式でちょっとご挨拶したんだけど、覚えてないよね。忙しかったものね」
「ああ、はい」
「声をかけない方がいいかと思ったんだけど、元気にしてるか気になってしまって」
「はい」
「なんて言葉をかけていいかわからないけど、元気を出してね」
それじゃあ、ごめんねと言って女の人は急ぎ足で店から出ていった。
母さんの友達だなんて全然わからなかった。全然覚えていなかった。
でもあの人は、俺を覚えていてくれたんだ。
おかわりしたカフェオレを一口飲んでみる、やはり美味しくない。だけど暖かい。
俺はまだ透明になってはいないらしかった。
まだ消えてはいないらしかった。
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