プロローグ

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 スミアリア=エリーモアント。彼女は『可愛らしい姫と溺愛王子の永遠の恋』という小説に登場するメインヒロインである。  透き通るような煌びやかな白髪にくすんだ青色の瞳。私は彼女と結ばれる男の子とのカップリングのファンだった。  私のいた現代世界では、応援している二人のカップルの事を『推しているカップリング』という意味で推しCP(カプ)と名称されている。 (これは本当最悪……)  私は今自身に起こっているこの状況が、これっぽっちも嬉しくなどなかった。何故なら――あまりにも、解釈違いだからである。 (私とあの子のカップリングなんて……求めてない!!)  私は自分でも自負する程のカップリング厨だ。推しCPなのであって推しキャラではない。セットだからこそ好きなのだ。単体キャラへの愛は私の専門外だった。  しかしこのままでは非常にまずいだろう。なぜならこの私が憑依したスミアリアは、攻めである男キャラ――アンゴット=カネルーから目に入れても痛くないほどの、溺愛ぶりを受けているからである。 プロローグ終                  next→第一話
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