第一話『状況整理』

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第一話『状況整理』

(どうしよう……)  私は必死に考えを巡らせる。こうしている場合ではないと布団の上から立ちあがろうとするが足が上手く動かない。  スミアリアはどうやら怪我を負っているらしい。そんな私の動作を目にしたリリーラは瞬時にこちらの背中に優しく手を置いた。 「無理はしなくていいのよスミ。まだ貴女には安静が必要なのよ」 「叔母様……(わたし)(わたくし)は一体何をしてしまったのでしょうか」 「スミアリア……記憶がないのね。可哀想に」  リリーラは悲痛な顔をしてそう言葉にするとそっと私の髪を撫でた。そうしてぎゅっと優しく抱擁をする。  その暖かな体温に心地よさを感じながらも、私は思考を巡らせた。とりあえず現状を把握する事から始めようと。 「叔母様、私はこれまでの記憶が曖昧で御座います。所々で記憶が抜け落ちてしまっているようですの。叔母様の事は分かりましたが……記憶にないお方もいるかもしれません」 「スミアリア、そのような心配はしなくていいのよ。貴女は自分の体が良くなることだけを考えていなさい。大丈夫、叔母がついていますわ」  リリーラは原作でもとても優しい印象を抱かせるキャラクターだった。常にスミアリアの悩みに親身になり、いつもスミアリアの味方をしてくれる綺麗な心を持つ女性だ。  だからこそ彼女のこの発言は信頼する事ができる。  私はリリーラを騙す事に対して心の中で謝罪をしながら、言葉を発した。 「叔母様、少し一人になりたいですわ。申し訳ないけれど少し考えたいの」  無論、今後どうするべきかを考えたい為、私の勝手な私情でそう言葉にした。今はとにかく何もかもが不明であり一人で状況を把握する時間が必要だった。  私のその言葉にリリーラは物悲しそうな表情を見せながらも小さく頷くと「何かあったらいつでも呼んで頂戴」と言って部屋を出て行った。  そばにいたメイドや医者も私に一礼をしてから次々と部屋を出ていきあっという間に部屋には私だけとなる。  私は大きく息を吐くと天井を見上げた。 「どうすんのこれ……」
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