第一話『状況整理』

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 ポツリと呟くが反応する者は当然ながらいない。自分は今、間違いなくスミアリア=エリーモアントで、このまま彼女の体を自分が受け継いで生活をする事になるのなら避けては通れない道がやってくる。 (アンゴットと私の……カプリング?)  冗談じゃない。あり得ない。天地がひっくり返っても許せる訳がない。前世での私はアンゴットとスミアリアのカプリング以外は全てが地雷だった。  公式ではアンゴットとスミアリアがラブラブなエンディングを迎え、それを狂信的に喜んでいた。  しかしカプリング界域は様々な思考を持つ者がおり、アンゴットと別のキャラクターのいわゆる非公式カプリングを好いている者や、スミアリアと別のキャラクターの非公式を好んでいる者も多くいた。  人の趣向はそれぞれな為、それを否定しようとは思わない。  だがそれでも私はそのようなカプリングは全てが解釈違いであり、それに該当する二次創作のイラストや小説を目にする度に静かに画面をブラウザバックさせてきたのだ。そのように自衛をして生きてきた。  そんな他でもない私が、アンゴットとスミアリアに転生した中身は『私』のカプリングを受け入れられる訳がない。  アンゴットの事は格好いいと思うし、スミアリアを守る姿に何度も惚れ惚れとしていたが、それはスミアリアを好きなアンゴットだからこそ、好きなのだ。  決してアンゴットという異性に胸を躍らせている訳ではない。私はそれだけ本当に面倒臭いオタクなのだ。 (本当に無理無理無理どうしよう。このままだと絶対アンゴットがやってくる……)  アンゴットとスミアリアは物語が始まった時から既に恋人同士であり、終盤に婚約をしてから結婚式を挙げ、幸せに暮らすというラストで物語が終了する。  つまり、現時点でスミアリアはアンゴットと恋仲にあるということだ。  原作での二人は幼い頃から交際を始めており、今のスミアリアの体の成長具合からして二人が恋仲である事は間違いなかった。  スミアリアが倒れたと聞けば、アンゴットは取り込み中だろうがなんだろうが必ずスミアリアの元に駆けつけてくるだろう。 (それはそれで本当に萌えるシーンで嬉しいんだけど……中身が私なのにされるのはまじで無理)
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