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第十話『策を講じる』
それから三日が経ち、私は護身術を習う前に今出来る事を思考していた。
アンゴットは毎日のようにこちらに赴き、生存確認と共に厳重な警備を日を追うごとに更に厳重にしていた。最初は五百人だった警備隊はたったの三日だけで千人に増えていた。
毎日のように人間が増えていく様子に私は窮屈な思いを抱きながらもしかし、スミアリアに向けられたアンゴットの狂信的な愛に悶えてもいた。そのため現状、推しCP補充に関してはこれ以上ないほどの供給は得られている。
しかし問題は今自分に出来ることが思いつかないことだった。
あと四日もすれば足は完治したからとアンゴットの前でも平然と動き回る事が出来、彼に護身術の習得を願い出ることもできるのだが、この一刻を争う状況で丸四日も何もしないというのは気持ちが悪いものだった。
(エビもあれ以上の情報はくれないし)
エビに何か他に有益な情報がないかを尋ねても彼は言わないの一点張りだった。
それゆえいまだに水槽こそはスミアリアの自室に置かれているものの、この三日間はエビとの会話もそう多くはなかった。初日が一番彼と話をしていたと言っても過言ではないだろう。
部屋から簡単に出ることもできない私にとっては完全に手詰まり状態だ。
早く時間が経って欲しいと思う自分もいれば、この四日間で出来る限りのことをしたいと思う自分もいる。前世では怠惰な生活が好きだった私も、流石にこのような状況に置かれてはそんな事を望んではいられなかった。
(スミアリア……今どこにいるんだろ)
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