第十話『策を講じる』

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 手詰まり状態の私はベッドの上に横になりながらふとスミアリアの事を考え始めた。彼女に関しての情報も未だに進展がない。  なぜスミアリアがあの日メーリンを連れて二人だけで出掛けたのかも、どこで足を怪我したのかも分からないのだ。アンゴットも必死になってスミアリアに関する情報を探しているが、まだ有益な情報は得られずにいた。 「お前最近寝てないだろう」 「え?」  するとエビが珍しく話し掛けてきた。私は驚いて勢いよく体を起こすとそのまま水槽の方へ足を移動させる。エビの方から話し掛けてくるのは久しぶりだ。 「なんて言った?」  私は言葉の意味を問いただすためもう一度同じ事を言ってもらおうとそう口にする。するとエビはただ一言「寝ろ」と声を返してきた。 「いや、寝ようと思ってるけどなんか眠れないんだよ」  スミアリアの体を大切にしたいと思っている私としても、睡眠を疎かにするわけにはいかなかった。  だが落ち着かない状況が続くせいか、本当に眠りにつけないのだ。少しくらいは寝られるのだが、言うても数時間で目は覚めてしまう。  私はその事をエビに説明すると彼はもう一度言葉にする。 「いいから寝ろ。睡眠を諦めるな」 「……なんかしつこいよ?」  私が鬱陶しい思いで彼にそう告げると、エビは「ガハハ」と奇怪な声を出しながら触手を動かす。  シッシッとベッドに戻るように動作をしているのだろうか。  彼の手はあまりにも小さすぎて仕草で判断するのは困難だったが、布団に戻れと言っている事は間違いないだろう。
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