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私は頭を唸らせ考える。とりあえず今がどの時期なのかを明確にしよう。そう思った。
「スミアリアはいつも日記を書いていたから、それを見ればすぐに分かる」
私は痛む足をゆっくりと動かしながらベッドの上から立ち上がる。しかし力が入らず直ぐに地べたに倒れ込んだ。
「いったぁ……てかなんで怪我したんだろ」
原作を思い返してもスミアリアが足の怪我をしたというエピソードはなかった筈だ。私は原作を五十回くらい読み返しているので間違いない。
しかし私が転生している今、物語も原作通りに動かないのかもしれない。
(アンゴットが私を見放してくれたら……)
現状でそれは願ってもない事だ。今のスミアリアは私であり、本物の彼女ではないのだから。だがそれと同時に悲しい気持ちも生まれる。
(中身が私とはいえ、スミアリアに愛想を尽かすアンゴットを見たくはないな……)
私は葛藤しながらも抱えたくなる頭を左右に振り、地べたをつたって日記の捜索を始める。
色々と悩む前に、まずは現状の把握から始めよう。私は痛む足を引きずりながらスミアリアの部屋を動き回った。
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