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後五分の間に一体どうすればいいのだ。私は推しCPへの喜びの感情を一旦切り替えてこの後どう言い逃れすべきかを必死に考える。
アンゴットがこちらに来たら、スミアリアの体を返せと問答無用で抑え付けられるだろう。それこそ本当に協力関係の破棄になるかもしれない。
(スミアリアの体を乗っ取った悪女だと思われて幽閉されるかも……)
私は想像して血の気が引いていくのを実感する。
スミアリアの体であることはアンゴット自身も気付いていることから殺される心配はいらないが、私がスミアリアの体を狙って今回の件を起こしたと思われる展開は大いに予想ができた。
焦る私を横にエビは呑気に「ガハハ」と口にして触手をバタバタと動かしている。
しかしそこでピタリと手の動きを止めると「おい、お前それはどうした」と再び話し掛けてきた。それと言うのは恐らく先程までなかったペンダントをさしているのだろう。
「これ? 実はさっき夢の中で……」
「それなら万事解決だ。アンゴットが来たらそれ見せておけ。俺の事は言うなよ」
「え? ちょ……」
「コウハラミアレ。入るぞ」
私がエビに意味を問う前にアンゴットが到着してしまった。
私は一気に緊張感で体が寒くなるのを感じた。扉越しにとてつもない殺気が放たれている事を、素人ながらに理解したからだ。
アンゴットはこれ以上ない程に憤っている。それを扉を一枚隔てていても感じてしまう程に、アンゴットの怒りは大きい事を示していた。私はどうぞと声を発するがその前に扉は乱雑に開けられていた。
私の声はか細く震えていたが、そんな私を案じる訳がないアンゴットは無言でベッドの方まで歩いてくると勢いよく私のベッドの布団を剥いでくる。
「貴様……この俺を騙すとはいい度胸ではないか。足の怪我を偽るなど、失望したぞ」
やはりエビの言っていた通り、彼は私の足の怪我が治っていた事を知っている。
私は矛盾した感情を持ちながらも今はこの状況を打破する策に頭を働かせ始めた。
アンゴットは今にでも懐に常備された剣でこちらに斬りかかってきそうな勢いである。このままでは私への信頼も何もないだろう。
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