咲カズ桜

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 その日の夕方に咲也は予備校を辞めた。  「浪人生」と言う肩書をなくして、何もない自分になった。  しかし、無職だと両親に申し訳ないと思い、すぐに決まったアルバイトで働き始めた。  イベント関連の裏方の仕事で、朝八時までに行ったこともなかったホールへ行き、見たこともなかった機材を到着したトラックやバンから降ろし、社員の指示に従って運び、終わったらすぐに帰る。時には同じ場所の撤去作業を行うこともあり、夜の七時か八時に集合し、指示に従ってトラックやバンに機材を積み込み、汗臭いまま帰るために駅に向かう。こんな日々を過ごしていた。
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