1 チャミル、会長就任

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「泣きたいのはこっちじゃ、チャミルよ」  老人は、泣きわめく少年の(かたわ)らに片膝を立てて座り込み、肩を上下させながら呼吸を整えた。 「ふぅ。さて、鎧よ。チャミルを座らせてやってくれんかのう」  ガチャ、ガチャン。  鎧が少年の上半身を起こし、老人の前に座らせた。 「まずはその頬の涙を拭かねばな」  少年はいやいやと顔を横に振った。  それはもう、ブンブンと振った。  老人が「やれやれ」と呆れながら鎧に視線を向けると、鎧が少年の(あご)を掴んで動きを封じた。 「チャミルよ。顎を砕かれたくなければ、大人しくすることじゃ」 「ふぅっ……ぐすん」  少年は捨てられた子犬のような目で老人を見つめた。顔は、涙と鼻水でぐしょぐしょだ。  老人はハンカチで少年の顔を(ぬぐ)った。  拭っても拭っても、少年の目からは涙が溢れ出てくる。 「しかたないのう」  老人はローブの左袖で少年の目を(おお)い、涙をせき止めた。  もう片方の袖で少年の頬を拭いてから、骨ばったシワシワの手で少年の左頬に触れる。  ぽわり。青い光が、老人の右手から注がれた。
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