捜査?

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捜査?

三人は森の入り口であるフェンスの前に立った。扉には南京錠が掛けられている。 高さもあるうえに上部には有刺鉄線が張り巡らされており、とても乗り越えるのは困難だった。 アイラは南京錠に触れ眉をひそめる。 「どうしたら……」 「誰が鍵持ってるんだろ?コテージのおじさんかな?」 アルフィーも思案する中、二人の背後でジャックは十字を画いていた。 ――ヵチャ ジャックの手元で小さく鉄のぶつかる音がする。 「二人とも離れてろ」 「え?」 「え?」 ジャックの声に二人が振り替えると、その先には銃口。 「ちょ!?」 「うえ!?」 二人が焦って扉から離れると…… ――バンッ! 派手な発砲音が静かな森に響いた。 それは小屋の中まで聞こえていた。 「フハ!?」 カウンターでテレビを観ていた管理人の男が肩を跳ね上げる。 「……何も聞こえなかった、何も聞こえなかったッ!」 これ以上関わりたくない男は聞こえないフリをした。 森の新鮮な空気に火薬の臭いと煙が流れてゆく。 南京錠は撃ち落とされ、古いフェンスはひとりでに開け放たれた。 「ちょっとッジャック正気!?急にぶっぱなすなんてッ!!」 「ちゃんと後で弁償するさ!」 「刑事の神父様が器物破損に不法侵入だ!!」 「これは捜索だ!ちゃんと警部にも「今日と明日は行方不明捜索をしてきます」って許可は貰ってる!」 「「ついでに南京錠を吹っ飛ばします」って!?」 アイラは顔をしかめた。 「それはッこれからだ……なんだ!?行くのか?行かないのか?」 「行くわよ!行くけど……今度ぶっぱなす時はもっと前もって言ってよね!心臓止まるかと思った!」 アイラは胸に手を当てながらフェンスの向こうへと入って行った。 ジャックは「悪かった」と呟き後に続く。 「……『ぶっぱなす』のはいいだね」 半笑いを浮かべたアルフィーも後に続いた。 森に入ると、辺り一面が濃い霧に包まれていた。 それでも目を凝らせばうっすらと周囲の景色は窺い知ることが出来る程度。 三人は懐中電灯で周囲を照らしながら慎重に進む。 「ねぇジャック、一つはっきりさせたいんだけど……」 「ん?」 「やっぱりここでママは見つからないわよね?だってママがここへ来たのって二年も前よ?」 「ずっと居る筈ない」アイラは周りを見渡しつつジャックに尋ねた。 「俺もそれは考えてた……」 その言葉にアルフィーは「じゃあ何でここに?」とジャックを見上げる。 「嬢ちゃんのママが『次に何処へ向かったのか』その手掛かりを見つけたい……それと儀式の調査もしたいしな」 その説明にアルフィーは納得した表情を浮かべた。 「儀式の事が何か分かれば、アイラのママに辿り着くかもしれないって事?」 「それもあるが、これは刑事としての仕事でもある」 アイラも納得したように頷く。 「そうね、儀式のせいで沢山の人が亡くなってる……完全に凶悪事件よね、しかもまだ続くかもしれない」 「ああ、これ以上の被害を止める為にも、儀式をやってる連中を捜しだし捕まえないとだ……」 「その為に儀式の場所を探すんだね?」 「そう言う事だ」
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