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殻を突き破るための具体的な行動量や熱意が足りていないのは、重々自覚している。金は無いが、暇が無いわけではない。
就寝時間までのフリータイムや休日は、それほど重篤でもない疲労や生理痛を言い訳に、大抵インターネットの沼にずぶずぶと両脚を取られたままぼんやり過ごし、無益に溶かしてしまうのだった。
下世話で安直な好奇心の赴くまま、惰性でスクロールさせる小さな画面から、得られるものはほとんどない。
わかり切っているのに、少しばかりと足先を浸したら最後、どこまでも深みにはまって抜け出せなくなる。決して居心地が良いわけではないその沼から、けれど這い出す気力はなく、そうこうしている間に長い月日が過ぎていた。
現に貴重な休日が今、こうして幕を閉じようとしている。自虐的な気持ちと仄かな未練心に引っ張られ、久しぶりに桐嶋のツイッターを開いた。
「ZOO動物園・キリリン初の自伝的小説『高く、遠くに』発売決定!」
トップ画面に固定されたツイートを見て、目を疑った。
続く文面には「ぼくの芸人人生を振り返り、一生懸命書きました。お笑いが好きな方もそうじゃない方も、ぜひ読んでね!」などと綴られている。
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