02.重なる不運は訝しく

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「噂というのは何だ。岬の体に棲みつき易い云々の情報が出回っているのか。お前ら、霊魂の間で」 そして、今日新たに分かったこと———岬の他、厘に限っては中の声が同様に届いているということ。みさ緒の姿が視える事に関係しているのかもしれない。 『そういうことになるわね。久しぶりに生身の身体を味わえるとなれば、死びとの誰もが欲するでしょうよ』 「はァん……それでお前も噂を確かめに来たワケか。みさ緒ちゃん?」 厘は、岬の頭部に視線を充てながら、口角を持ち上げた。その表情に身震いを覚えたのは、どうやら自分だけではないらしい。嗄れた声が『だから苦手なの。この人』と呻いていた。 「あの、厘」 「なんだ」 ようやく厘と視線がかち合う。瞬間改めて、彼は本当に()えているのだと悟った。 「知ってたの……?私の、その、体質のこと」 「そりゃあな」 「最初から、鈴蘭(リリィ)のときから……?」 「知っていた。何と言っても、お前の体調面がままならないのは、その至極厄介な体質に紐付いているのだから」 体質のせい……? 今まで考えもしなかった。母もそんなことを口にしたことは無かったし、同じく知らなかったはずだ。……たぶん、知らなかったはずだ。
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