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「君、いくつだい?」
「十八です」
「すごく若いね。いつからこの仕事してるの?」
「上京してからだから、まだ三ヶ月くらいです」
「それでもうナンバーワンか。すごいね」
と、優しく肩を抱き寄せてくる。皺の寄った筋張った手はあったかくて、触り方が優しい。
胸を揉まれるのもあそこをまさぐられるのも舌で口の中をかき混ぜられるのも、エッチなことをしているっていうより、マッサージでも受けているみたい。
ズボンのベルトをほどくのでサービスしなきゃとペニスに手を伸ばそうとすると、やわらかく断られた。
「いや、いいよ、見てて」
あんまり大きくない黒ずんだペニスを出して自分でしごきながら、片方の手であたしのAカップを触り続ける。二分もしないうちにいってしまった。
終わってから、恥ずかしがるようにそそくさとトランクスとズボンを上げる。生臭い臭いがぷんとたちこめる。
あたしは小さな子どもがあやされるように、おじさんの膝の上に乗せられた。筋張った手はお腹のところにある。背中で感じる陽だまりみたいな体温が気持ちいい。
「さすが君は、ナンバーワンだね」
「あたし、何もしてないですよ」
「何もしなくたっていいんだよ。君となら誰だってまた、ここに来たいと思うはずだよ」
「嬉しいです」
ふふ、とおじさんが小さく身体を揺らして笑った。よく身体の相性がいいとか悪いとか言うけれど、たぶんあたしとこの人はとても相性がいいんだと思う。
お客さんは毎日たくさん来るけれど、誰とでもほっとして、心が癒されるようなプレイが出来るわけじゃない。
男の人はすぐテクニックに固執するけれど、本当に女の子を気持ちよくさせるのは花火のように一瞬で消えてしまう快感じゃなくて、あったかい心だ。
「ねぇ、どうしてこんなお店で働こうと思ったの?」
こんな質問を風俗嬢にするのはヤボもいいところで、遊びなれない若造ならともかくいいトシをした人がこう聞くのはかなりナンセンスなのだけど、あたしは素直に答えた。
「裸の付き合い」を終えた人、そしてとても相性のいい人には、自然と心を開きたくなる。
「あたし、援交少女だったんです。田舎にいた頃」
「驚いたな」
おじさんの声が上ずった。多くの大人は援助交際をするのは、ちょうど裕未香やさおりさんみたいな、髪を染めたギャルだけだと決め付けている。
見た目にちっともすれたところのないあたしは、援助交際も風俗でのバイトも似合わない。自分でも思う。
「だからお金のためにこういうことするのってすごく普通なんです、あたしにとっては」
「どうしてそんなにお金が欲しいの?」
「お金は別に、欲しくないです。ただある時お金を渡されて、くれるのならもらいますって受け取ったら、それが普通になったっていうか」
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