7人が本棚に入れています
本棚に追加
/191ページ
リーダイもチオラも、うちのテントにおいでといつも言ってくれるし、たまには断り切れなくてお世話になることもあります。もう九歳なんだから、大丈夫なんですけど。ぜんぜん、ぜんぶ平気。
晩ご飯のあとは、リーダイとか、チオラとかに見つからないように、かといってひとりにはならないように、炊事場であれこれ働いて、みんなが自分たちのテントに戻る列の最後ついて行きます。一人じゃないけど、ひとりぼっちにはなるように。
おやすみー! と同じ年の子たちが手を振りあってます。前は、あの中でした。こういう、列の最後をついて行くのは、レトのすることでした。なんだか今になってレトとそっくりの行動をするようになったので、たまに笑っちゃいます。ひとりですけど。
わたしは自分のテントを持ってないので、旅団の、大きなテントを間借りしてりてます。たとえば少しの間だけ旅団に勉強に来ている人とか、わたしたちみたいに家族がいない人とか、そういう人が眠るためのテントです。端っこにあるので、到着するころにはわたし一人になります。
そのテントの前に、ぽつっとひとが立ってました。一瞬、二つの顔が浮かんで、いや二人ともあんなに大きくないなって思いなおします。たぶんわたしの顔は笑えているはず。
「こんばんは、ロジン。どうしたんですか?」
「夜遅くまでお疲れさま、テト。いま時間ある? ちょっと話したいことがあるんだけど」
「はい、もちろん!」
誰もいないといいんですけどと言い添える。前の街で、四人、お勉強のために旅団に入ったお兄さんとお姉さんがいて、そのお姉さんたちと同じテントを使っているのです。ちょっと中を見てみたら、中身がふくらんだ寝袋が並んでいたので、ロジンを見上げて首を横に振ります。
「ごめんなさい、リヨンさんとセルさんが寝てるみたいです。起こしちゃうので……」
「じゃあ、おれのところにおいで。その話しをしたくて来たんだよ」
ちょっと曖昧に笑います。もうずっとそんなお話しばっかです。ロジンが来るのは初めてですが。
最初のコメントを投稿しよう!