1/1
前へ
/1ページ
次へ

 

変わらない景色を風通しがいい屋外の最上階 錆び付いた手すりがギィギィ音を上げる。 グッと、メガネをあげる。 俺『眩しいっ…相変わらずブラック企業が  蔓延っていますねぇー。』 手すりを飛び越える その瞬間は堪らない。スリル満点だ ヤニカスである俺は煙草に火をつける。 思い切り肺に悪影響する行為 これがまた、忘れられて最高だ 「死ぬな」 その最高な気分を止める奴。 最悪に突き落とす声は 自分を止める。 わかった口ぶりして うざったいたらありゃしない 俺『糞野郎。死ぬわけないだろ?』 頭をかきむしる。 この動作もすべて演技だ なりたい自分を重ねて。 あー 一人がいい きっと重度の中二病だ この幻覚のせいで 死ねないなんて 夢であって欲しい。 いや、死ぬ勇気すらねぇけれどもさ、 あー嫌、嫌だ 俺『うるせぇよ、自分。』 「まぁ、そう言わずに」 はぁ、… もう幻覚じゃないことくらいわかっているが 自分の頭から聞こえる声が面白い 思い切り口角を上げてにやけるしかない そうだろう 「また、切ったの?」 …額に大粒の汗をかく。 目がぐるぐるする。いい加減口を つぐんでほしい。 死人にくちなしなのにさぁ。 「…あ、向こう側の方にヘドロ、2いるよ」 『あっそ、行けばいいんだろ』 手すりに寄りかかって盛大にふらつく コーヒーが足りない 「…、ねぇもう寝ないと体が持たないよ  回生は周りに心配してる人がいること  忘れないで。」 俺『…黙ってろ…こっちは自分の意思で   動いてんの』 ふらふらな視界を制御する。 まだ、死ねないならやる事がある 頭をかきむしる。 ボサボサな頭は忘れない人を思い出す。 アイツみたいな誰にでも優しく、 正義感が強いヒーローになれない。 糞野郎みたいで下衆なヤニカスに そんな代わりは出来ない。 何にも責任を取りたくない 人の不幸を口角あげて蜜のように 貪る。 そんな奴が単純な行動を取っただけで つとまらない。 俺『だから、寝るわけにはいかない   アンタの代わりは出来ないからな』 「…。無理しないでよね」 眠気が襲う体をほぐす。 『知らね。』 眠気が襲う前に俺はヘドロのところに 向かった。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加