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「ごめん、どうかしてた」   琴子がポツリと謝る。  僕は、あの後、温かいコーヒーを入れた。そして、二人で黙って、それを飲んだ。  琴子は鼻を啜りながら、コーヒーカップを両手で包み込むように持つと、口に運んだ。  コーヒーを一口、口にする度に、琴子は少しずつ落ち着きを取り戻していった。 「ひどい顔」  ローテーブルにある置き鏡に映った自分の顔を見て、琴子が呟いた。  琴子は、リュックから化粧ポーチを取りだすと、手際良く化粧を直して顔を整えていった。  そこには、もう中学生でもない、高校生でもない、大人の女性になった琴子がいた。
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