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 どうしたというのだろう、今日の琴子は。  何に不安を感じているのか、全く分からない。  僕は何も変わっていないというのに。  むしろ、外出できるまで回復してきているというのに。 「僕は、どこにもいかないよ、家で小説を  書いてる」  そう言うと僕は琴子の眼を見て微笑んだ。  琴子は僕の眼を暫く見つめてから、  「なら、いいけど……」  と呟いて、再び窓の外に視線を向けた。  それから、僕達は一言もしゃべらずに車を走らせた。  カーステレオからは、僕の大好きなback numberの曲が流れていた。
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