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 アパートに着くと、琴子は助手席から運転席の方に身を乗り出し、僕にキスを求めた。  僕は琴子の薄い唇に、そっと唇を重ねる。  そして、彼女が納得するまで、何度もキスを交わした。 「ねえ、脚本、書いてよ」  琴子は唇を離すと僕に頼んだ。 「脚本?」  僕が問い返すと、 「うん」  と頷く。 「透が書いた脚本を、わたしが演じるの」   琴子があまりに真剣に言うので、 「すごくエッチなの?」  と僕は、わざとふざけた。  ん?琴子は、一瞬、考える。だけど、直ぐに、 「そう、すごくエッチなの」  と言って、にやりと笑った。  そして、二人して、くすくすと笑った。  何だかおかしかった。次から次に笑いが込み上げてくる。 「くくくくく、うふ、あは、あはははは……」  僕達は、声をあげて暫く笑い続けた。 「あー、おかし......ばか透」  琴子は、そう言うと、目尻に溢れた涙を指先で拭った。 「ひど」  そう言うと、今度は僕の方から彼女にキスを求めた。  彼女の長く美しい黒髪が揺れる。  僕は彼女の両頬に手を添えると、長い長いキスを交わした。
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