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13
アパートに着くと、琴子は助手席から運転席の方に身を乗り出し、僕にキスを求めた。
僕は琴子の薄い唇に、そっと唇を重ねる。
そして、彼女が納得するまで、何度もキスを交わした。
「ねえ、脚本、書いてよ」
琴子は唇を離すと僕に頼んだ。
「脚本?」
僕が問い返すと、
「うん」
と頷く。
「透が書いた脚本を、わたしが演じるの」
琴子があまりに真剣に言うので、
「すごくエッチなの?」
と僕は、わざとふざけた。
ん?琴子は、一瞬、考える。だけど、直ぐに、
「そう、すごくエッチなの」
と言って、にやりと笑った。
そして、二人して、くすくすと笑った。
何だかおかしかった。次から次に笑いが込み上げてくる。
「くくくくく、うふ、あは、あはははは……」
僕達は、声をあげて暫く笑い続けた。
「あー、おかし......ばか透」
琴子は、そう言うと、目尻に溢れた涙を指先で拭った。
「ひど」
そう言うと、今度は僕の方から彼女にキスを求めた。
彼女の長く美しい黒髪が揺れる。
僕は彼女の両頬に手を添えると、長い長いキスを交わした。
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