4人が本棚に入れています
本棚に追加
ただいま。
一年ぶりに、この平原に帰ってきた。平原は荒れ果てたまま。むしろもっと酷くなっているかもしれない。
「お姉ちゃん…… ただいま……」
お姉ちゃんは、平原の真ん中で咆哮していた。ごめんね、一人にしちゃって。でも、もう大丈夫だから。苦しいのから、救ってあげるから。
帝都で、アルベールという、浄化の力を持った人間を見つけた。事情を話すと、協力すると言ってくれた。アルベールの力があれば、お姉ちゃんを助けてあげられる……
私がお姉ちゃんを引き付けて、お姉ちゃんに隙をつくる。そのときに、アルベールに力を使ってもらう。
「お姉ちゃん!こっちだよ!」
グワオォォォォォァ!
お姉ちゃんが私を敵として認識したようだ。唸り声を上げてこちらに走ってくる。
「うっ…… お姉ちゃん、ごめん!」
思いっきり地面を蹴って空中に飛び上がり、お姉ちゃんの右目に槍を突き刺す。
ッガアァァァァァァァオ!
お姉ちゃんが私を振り払う。地面に勢いよく叩きつけられた。ダメだ、左目も潰さないと…… すぐに体勢を整えて、もう一度飛び上がる。
「はぁぁぁぁあ!」
お姉ちゃんの左目に、槍を突き刺す。
ウガァァァァァァァァゥ!
お姉ちゃんは苦しそうにもがいて、その場に倒れる。
「アルベール!今よ!」
「わかった!
……はぁぁぁぁぁあ!」
アルベールが手に持つ剣が白い光を放って、
…………お姉ちゃんの心臓を、貫いた。
お姉ちゃんは白い光に包まれて、花びらが散るように、弾けて消えていった。
最初のコメントを投稿しよう!