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「じゃあ、この中に一個だけ割ってくれるか。一気に焼けないから順番な?」
ダイニングテーブルの上に用意しておいた、小さめのボウルと使う分だけの卵。パックは少し前にそれぞれ開けてもらっていた。
二つ買っておいて良かった。
それと、もっと早くこうして開けてもらえば良かった。
「あっちゃん、さきにやっていいよ」
なっちゃんの言葉に、あっちゃんが嬉しそうに笑う。微笑ましい光景だ。
「あぁー、あっちゃん!もう少し手の力弱くして」
割るというより握り潰されたと言った方が正しいかもしれない。ベトベトになったあっちゃんの手を洗ったあと、ボウルに入っている殻を菜箸で取った。
そして、一緒にグルグル混ぜる。
焼くのは危ないから俺。チキンライスの上に乗せたら満足そうな顔をしていた。可愛い。
「あっちゃんじょうずだったね。ぱぱ、なっちゃんもやる」
卵を渡すと慎重に割っていた。
少しだけ殻が入ってしまったが、黄身の形は崩れていない。なっちゃんが一人で混ぜて、手伝いながら一緒に焼いていく。
「二人とも上手に出来たな。この調子でパパのも美味しく作ってくれ」
「まかせて」
「まかしぇちぇ」
そのあとはまた順番に割ってもらった。
もっと割りたいって言うかと思ったが大丈夫だった。
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