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「ただいま」
玄関ドアを開けると、長女のなっちゃんが出迎えてくれた。それから少し遅れて次女のあっちゃんもやって来る。
「ぱぱ、おかえりー」
「えりー」
可愛い自慢の娘達。
笑っている顔を見ただけで疲れが吹き飛ぶ。
「なっちゃんね、きょうおてつだいしたの!たまごじょうずにわった!」
「わっちゃ!」
えっへんと言わんばかりの態度。
なっちゃんの真似をして、あっちゃんも自慢気だ。
「おー、それは偉いなぁ。ママも喜んだだろ?」
「うん!きょうはたまごづくしなの!ぱぱ、おなかすいてる?」
「しゅいちぇる?」
「あぁ、お腹ぺこぺこだ」
手を引かれながら廊下を歩く。
洗面所に寄って、三人で手を洗って、うがいして。癒しの時間。
「浩介、おかえりなさい」
ダイニングテーブルの上には、具沢山の焼きそばとトマトと卵の炒め物が並べられていた。
思っていたより卵の量が少ない。
残りはスープかデザートか?
いや。たくさん割ったと勝手に思い込んでいただけで、そんなに割らせなかった可能性もあるよな。
「なっちゃんがわったたまご、ぱぱにみせる!まま、だしてー」
「はいはい」
二人が視界からいなくなる。
俺はリビング続きの和室でスーツを脱ぎ、あっちゃんはソファーに座って子ども向けアニメの続きを観ていた。
「ぱぱー」
「待って、走っちゃダメ」
小さめのボウルを抱えながら、なっちゃんが走って来る。その後ろを慌てて追いかける佳菜。
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