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「せっかくだし普通サイズのプリンを作ろうかな。あ、もちろん人数分ね?」
「あぁ、是非ともそうしてくれ」
「なっちゃん、あっちゃんおいでー。家族みんなでプリン作るよ」
洗い物が終わったあとはソファーでひと休みしようと思っていたのに、佳菜の言葉に手が止まる。
今、みんなでって言ったか?言ったよな?
「わぁい。ぱぱもいっしょにつくるの?」
「つくりゅの?」
なっちゃんとあっちゃんが、嬉しそうに駆け寄ってくる。こんな顔されたら嫌だなんて言えないわけで。
「そう。パパは、なっちゃんとあっちゃんが卵割るのをお手伝いする係」
「……俺、卵の殻取るの苦手なんだけど」
「あら、私の方が昨日たくさんやったわよ。自分で買ってきた分は責任持ってね?」
綺麗にしたばかりのボウルが、佳菜の手によって俺のところへ戻ってきた。時間差で卵のパックと菜箸も。
「ぱぱー、たまごちょうだい」
「あっちゃも」
プリンを作ったとしても、俺が買ってきた卵はまだ残っているはず。これって来週もよろしくねってことだよな。
いや、なっちゃんとあっちゃんの卵ブームが、それまでに過ぎてる可能性だってあるか。でも、高価なものに夢中になられても困るんだけど。
今度の金曜日の夜、ただいまって帰ってきたら何に笑っているんだろう。頼むから卵以外の安い物であってくれ。
そう思いながら必死に殻を取った。
プリンは美味しかったが、卵はしばらく食べたくない。
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