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「こら、危ないから走っちゃダメだぞ」
ワイシャツにトランクスという中途半端な格好のまま、ボウルを手に取った。
フローリングならまだしも、畳に生卵をこぼされたら大惨事だ。かなり揺れていたし危機一髪だったと思う。
「ごめんなさい。でも、はやくぱぱにみせたかったの」
しゅんと落ち込んでる姿も可愛い。
許したいところだが、奥に立っていた佳菜の表情を見て険しい顔を作る。
「上手に割ったのに落としちゃったら、卵さんが可哀想だろ。今度からは食べ物持ったまま走らないようにしような?」
「はぁい」
甘やかしすぎって何度も注意されているから、少しだけ厳しいパパを演じた。
「さぁ、パパは先にお風呂だからなっちゃんも一緒に入ってきて。目玉焼き作るのは出てからね?あっちゃんも行っておいで」
ボウルの中には、形が崩れている卵と綺麗な形をしている卵が入っていた。これをなっちゃんが焼いてくれるらしい。
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