我が家の卵騒動

2/10
前へ
/10ページ
次へ
「こら、危ないから走っちゃダメだぞ」 ワイシャツにトランクスという中途半端な格好のまま、ボウルを手に取った。 フローリングならまだしも、畳に生卵をこぼされたら大惨事だ。かなり揺れていたし危機一髪だったと思う。 「ごめんなさい。でも、はやくぱぱにみせたかったの」 しゅんと落ち込んでる姿も可愛い。 許したいところだが、奥に立っていた佳菜の表情を見て険しい顔を作る。 「上手に割ったのに落としちゃったら、卵さんが可哀想だろ。今度からは食べ物持ったまま走らないようにしような?」 「はぁい」 甘やかしすぎって何度も注意されているから、少しだけ厳しいパパを演じた。 「さぁ、パパは先にお風呂だからなっちゃんも一緒に入ってきて。目玉焼き作るのは出てからね?あっちゃんも行っておいで」 ボウルの中には、形が崩れている卵と綺麗な形をしている卵が入っていた。これをなっちゃんが焼いてくれるらしい。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加