エピローグ

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「おいおい、魔法使いさん。さっきも言っただろ。  魔王のほうが先に俺たちに気付いて気配を消したか、あるいは逃げ出したかのどっちかだろって。  なあ、勇者様よ?」 「どちらにせよ、俺たちを恐れているのであれば、たいした奴ではない。  それにたとえどこへ逃げようとも、地の果てでも追い詰めてやる。  俺たちのやるべきことには何も変わりはない」 「ふん、確かにな」 「そそそそれはそうなんですが……」  勇者は戦士と魔法使いの言葉も聞き流し、遠い目をしながら宣言した。 「俺は必ず魔王軍を殲滅してやる。  たとえどんな理由があろうとも、俺の故郷を滅ぼした奴らを許してやるつもりはない。  ……行くぞ、ふたりとも。一匹残らず皆殺しだ!」  そうして彼らは歩き出した。  魔王城に棲むモンスターたちを、すべてこの世から消し去るために。  その歩みを止められる者は、おそらくきっと誰ひとりとしていないだろう。  誰にも行く手を阻むことができないからこそ、彼らは『勇者』と呼ばれるのだから……。
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