相性

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相性

ゑ…宝? 「結構気に入ってる名前だ。宝ってシンプルに呼んでくれればいい。」 あ…(キマズ)こいつ…キラキラネームギリギリの名前をを気に入ってるっぽいな…なんか…俺の周りにいるやつ…まともなやついねぇな… と、自分のことを完全に棚に上げて思った。 その時、もう聞き馴染みのある声がした。 「だいじょーぶかー?」 「だ、大丈夫ですか?」 ヒーロー()と新美だ。 「ん?お前は?」 「矢藤宝。宝って呼んでくれ。」 「あ、パーティーに入る前提なのね…(ボソッ)」 別に男は間に合ってますという顔をしている。 さすがにひどくないか?高校生だし多めに見積もってやってもいいが。 「ところで、お前ら全員名を名乗っていないだろう。」 「おっと、そうだったな。俺は折原聖一。ヒーローと呼べ! こっちは、新美千愛。で、お前が助けたのが、影山潤。」 「おk」 ―武士っぽい風格の割に感じが軽いな… 若干の違和感を覚えていると、 「あ、敵きたぞ。」 宝が当たり前のように言った。(まあこの状況なら当たり前だが) 「あ、ほんとだ。」 と、ヒーロー()もなれた口調で返した。 「宝、ちょっと実力を見せてよ」 「ヒーロー、お前の実力を見せてみよ」 二人は同時に言った。 「「あ…(キマズ)」」 一瞬の間の後、 「じゃ、どっちも行きますか!」 「ああ、そうしよう」 宝が承諾したと同時に二人は駆け出した。 「宝そっちいるよ!」 「ヒーロー、後ろに気をつけよ」 ―なんか、こいつら結構連携プレイ出来てんな… 予想外の相性に戸惑う俺。 「宝あっちのやつやって!」 「了。ヒーロー、左側から多めの敵がいるぞ。」 …ヒーロー()と宝の語彙力の差にそんなもんか笑とか思っていると、 「危ない!新美!」 と、ヒーロー()の声が聞こえた。新美の方を見ると、背後から怪物が迫ってきている。俺は瞬間的に新美の方向に走っていった。 「逃げろ!」 と新美に言ったが、新美は突然のことに戸惑い、体が動いていない。 その間も俺は走り続ける。 「逃げろ!新美、逃げるんだ!」 新美は俺が守るから! 新美はようやく電源が入ったかのように走り出した。それでも俺は走る。 新美を守るために。 「ヴオオオオ」と、化け物のうめき声が聞こえてくる。その声を頼りに俺は化け物の方向に向かっていく。これで大丈夫だ。だって、俺は幸運スキルを持っているのだから! その時だ。 「グアアアアアア」という声がした。声のした方向を見ると、 。 その横には宝の姿。 どうやら、宝が敵を倒しながら俺たちの方向に向かっていき、宝と戦っていた怪物が間違えて新美を襲おうとした怪物を殴ってしまい、その衝撃で新美を襲おうとした怪物は死んだ。 その後、宝が隙をついてもう一匹の怪物を倒したようだ。 ………怪物馬鹿すぎないか?てか、怪物は怪物の攻撃で死ぬのか… これはそこそこ有力な情報(?)かもしれない。 その時、視界が真っ白になり、声が聞こえた。 「第1ステージ攻略完了(クリア)だ。」
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