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剣士
とりあえず、こいつらを一旦なだめなければ………
そう思った矢先。
「では、そろそろ第3ステージを始めようか」
間が悪い。プレイヤーのことなんぞ知るわけないだろうといいそうな感じだ。
もちろん、これを止めるわけにもいかない。デスゲームにおけるプレイヤーとGM(ゲームマスター)では立場が違いすぎるのだ。
さっきも言ったが、今ここで死ぬわけにもいかないので、ここで出しゃばってはいけない。
「た、宝、新美、次も頑張ろう」
精一杯の慰めだった。
返事…という返事はなかった。
だが、ふたりとも微かにうなずいたような気がした。
「第3ステージは、いわゆるタイマンをしてもらう。もちろん、プレイヤー同士で………と言いたいところだが、思ったより人数が少なくなってしまっているので、これ以上減ると最後まで進むプレイヤーがいなくなるかもしれないので、プレイヤーvs敵のバトルでやってもらう。」
―最悪だ。プレイヤー同士でやり合わないだけ不幸中の幸いと思うことにしよう。
今、この二人は誰かと一緒にいないと、メンタルを保てない。
しかし、この状況では絶対に一人で敵に立ち向かわなければならない。
俺は―まあ、幸運スキルがあるから多分大丈夫だろう。
宝は―どうだろうか。敵を倒せるほどの力はあるが、メンタルのせいでそれを発揮できないかもしれない。
新美は―結論から言うと、難しいだろう。力がある宝ですら死ぬかもしれないというのに、今までなんの活躍もしていない新美―到底力があるとは思えない新美には生きられるとは思えない。
「では、第3ステージ、攻略開始だ。」
その瞬間、視界が真っ白になった。
気づいたときには、なんというか、コロシアムとでも表現すればいいのだろうか、そんな感じの場所にいた。
真正面には敵の姿。これまでに見たことのないタイプだ。
言うなれば、剣士。ごつい甲冑で全身を覆い、顔が見えない。
右手に剣を、左手に盾を持っており、今すぐにでも襲いかかってきそうだ。
こういうタイプは集団で襲ってきそうな雰囲気だが、今回はタイマンなので
こいつ単体のようだ。
―てか、どのタイミングで始めればいいの?
「戦闘開始」
俺の心を読み取ったかのように、無機質な機械音声が始まりを告げた。
その瞬間、剣士は俺の方へ突っ走ってきた。
とりあえず棒立ち。
観客がいたらここで大量のブーイングが入りそうだが、観客はいないので、
棒立ち。いや、観客がいても棒立ちだっただろう。
そんなこと関係ないと剣士は突っ走ってくる。
そして、剣士が剣を振りかぶった。
対する俺はまだまだ棒立ち。
剣士が振りかぶった状態で、剣をおろしながら俺の方向へ走ってくる。
いよいよ当たるかと思った次の瞬間。
………コテッ
………そんな漫画で聞こえそうな思わず笑ってしまうような音が聞こえた。(実際にはそんな音していないのだろうが、そう聞こえてもおかしくない感じだった。※個人の感想です。)
何が起こったか。
言うまでもない。
剣士はコケた。
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