ヒーロー

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ヒーロー

あぁ、クソ!!最悪だ!! 俺―影山潤の心境は最悪だった。 死にたいから1000%死ぬはずの行動をとったのに 偶然にもいた!!偶然にも!!同じ願いを持ったやつに!!!死を!! 横取りされた!!!ふざけんな!! これじゃ、まだまだこの暇な人生からは開放されなさそうだ。 そんな時、ノロイが口を開いた。 「ん…?違うやつが身代わりになったのか…?あいつは…コードNo.1657か…妨害行為をしたコードNo.1229とは違うが、もう処理が面倒くさいからそのままにしておこう。命拾いしたな、コードNo.1229。」 なぁにぃがぁ????!!!!命拾いだァ??!!こっちは死にたくて ボウガイコウイをしたっていうのによう!!!なんで死なないの?! 「命拾いしたな」って、俺に対する皮肉ですか?!?!?! あーもーサイアクーまじ萎えるー ………半ば心情がギャルになりだしている俺だが、ノロイは構わず続ける。 「さぁ、少し遅くなったが、そろそろゲームをはじめようじゃないか。 とりあえず、小手調べ(チュートリアル)としてテキトーに何体か敵コードNo.001ぶち込むから頑張ってもらおう。健闘を祈る」 ………めんど。 先程の件のせいでガン萎えしている俺だが、ぼーっとしている暇もなく、 先程も聞いた雄叫びが聞こえてきた。 あ、来た。 「さっきの怪物!」 ―俺は目をキラキラと輝かせて言った。 さっきは死ねなかったけど、次はいけるかもしれない!! しかも、軽く10体ぐらいいる!! ―常人なら怪物が10体いると聞いたら「鬼畜すぎるだろこのクソゲー!!」 と思うかも知れないが(まあそこがデスゲームの特徴なのだが)、俺からしたら死ぬ確率が増えた=サイコーーー!!ということで頭がいっぱいになるのでそんなことは微塵も思わないのだ。 当然、周りは逃げ惑い、叫び声を上げ、死んでいく。 周りが怪物とは逆方向に向かう中、ただ一人、俺だけは怪物がいる方向へと向かっていた。ゆっくり、ゆっくり、歩いていった。 すると、一人だけ変なやつがいると気がついた怪物の一人が近くの怪物に知らせた。 俺は怪物からの注目の視線を浴びながら、優越感に浸っていた。 そして、俺は喜びに満ち溢れた声で言った。 「さぁ、怪物!!俺を殺せ!!俺は本当に何も武器などは持っていない!!さっき殺し損ねたやつだから、より殺したいんじゃないか?さぁ、速く!!」 ウオオオという雄叫びと共に周りの怪物が一斉に俺に向かって飛びかかってきた。 さすがにこの状況なら幸運スキルは発動しないだろう。この人生ともおさらばだ!! そのとき、ダンダンダン、と銃を連射した音が聞こえた。 「っしゃ!!エイム完璧!!ゲームで培った経験は無駄じゃなかった!!」 目の前にいた怪物があっさりと倒れてしまい、一瞬俺は拍子抜けしてしまった。 「おい、お前、大丈夫か?お前は…さっき殺されそうになったやつか。 またしても命拾いしたな!」 元気ハツラツの象徴みたいな声で言う男は、高校生ぐらいの格好をしている。 青春してそうな顔をしている。うぜぇ。 「おっと、名前を言っていなかったな。俺は折原聖一(おりはらせいいち)。 お前の命を救ったヒーローだ!名前ぐらい覚えてくれよ!!お前の名前は?」 ………生意気な高校生だ。何がヒーローだ。高校生にもなってヒーロー気取りか?俺が言うのもなんだが、もうそろそろ世間に目を向けたほうがいい。 …そんなことはどうでもよくって!!まーた幸運スキル発動かよ!! デスゲームでも余裕で通用すんのかよ!最悪だよ!ってかどこでその銃手に入れたんだよ!それが一番気になるわ!! 「お前、なんで俺がこの銃を持っているのっていう顔をしてるな?教えてやろう!逃げてたら落ちてた!それだけ!」 …こいつ、自分が世界の中心だと思ってるタイプか。俺がこの世で一番嫌いなタイプだ。 「てか、さっきから一回も喋ってないけど、お前の名前は何?」 「………影山潤」 「影山潤!!いい名前だな―!!親に感謝しろよ!!」 テメェふざけてんのかゴラァァァ!!!!!! と思わずいいたくなってしまう気持ちをぐっとこらえて「あ、あぁ……」と適当に返しておいた。 「さ、せっかく助けてもらったんだから、ちょっとぐらい借りを返してくれてもいいよな?」 ………どうせ俺の返答に関わらずやらせるんだろ。 「あぁ………大丈夫だ。」 「よし!じゃあ、銃がいくつか向こうにあるから拾って怪物を蹴散らしてくれよ!!さすがのヒーローでもこの量を一人で片付けるのは大変だからな!」 はいはいわかりましたよと言わんばかりに俺は気だるそうに銃があると ヒーロー(笑)が言った方向に進んでいった。
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